公共交通の活用事例:シアトル編

 

 シアトルはアメリカ西海岸の北、カナダ国境に近い美しい街である。中心市街地は神戸ほどの規模で、その気になれば歩いてまわれる街である。

 ダウンタウンからハイウエイで15分ほど走ると郊外のまちへ行けるのだが、そこにはメチャメチャ大きなショッピングセンターが複数オープンしており、シアトルも中心市街地がすっかり衰退していたようだ。

   

 高速道路は「流石アメリカ!」というスケール。片側4車線、ジャンクションになると20車線もの道が集合しており、そこを100キロ余りで車が次々とすっ飛ばして行く。 しかし、これだけ大きな道路でも、朝・夕を中心に渋滞が発生、あたり一面は車の海。時間通 りつけないイライラや、深刻な大気汚染が発生する事態となった。

 

 「中心市街地の活性化」と「車社会の根本的見直し」という2つの要因から公共交通 の活性化が積極的に行われるようになり、今日大きな成果を上げている。まさに高岡にとっても大いに参考になる事例だ。


 

 

 ダウンタウンの中心部を抜けるトンネルバス。交通渋滞に巻き込まれず、定時運行が可能となっている。現在は2両連結のトロリーバスが主体だが、LRTの建設計画が進行しており、このトンネルにもやがて低床式路面 電車が走ることになる。

 各駅車はそれぞれの趣向を懲らしたものとなっており、写 真のユニオンスクエア駅にはオブジェのような時計が取り付けられている。

 なお、このトンネル区間をはじめ、中心市街地は無料となっている。

   

 バスは町中では電気を動力源とするトロリー、郊外ではディーゼルエンジンというハイブリッド型、ほとんどが2両連結で走る。ノンステップバスより車高の高いバスが多いが、ステップが上下できる機構があり、車椅子でも難なく乗車している。歩行器なども含め、ステップを上下させる様子は日常茶飯事、他の乗客もおとなしく待っている。

 写真左手は観光客用のビンテージトロリー。海岸線にはビンテージトラムが走るなど、様々な乗り物を組み合わせて公共交通 を構成している。

 

   ウエストレイク・ショッピングセンターや百貨店が集まる中心市街地。シアトルセンターへ向けたモノレールの駅もある。広場はコーヒーを飲んだり、くつろいだりする市民の姿で終日賑わっている。
 

   

 これが郊外のパークアンドライド施設。広大な駐車場は無料で利用することができ、すぐ横にバスターミナルがレイアウトされている。

 こうした施設はいたる所で見かけるほどで、幹線道路の交差点にはほぼ間違いなくあるほどだ。また、郊外のショッピングセンターに隣接した施設もあり、利用者の利便性に配慮されている。最寄りの駅に車をおいて渋滞知らずの公共交通 で通勤。帰りはショッピングセンターで買い物して家路につくというスタイルが定着しているようだ。

 

 

 シアトルを始め、欧米のライフスタイルとして見逃せないのがバイク。メットまでしっかり決めた正統派バイカーが車の横をすり抜けてすっ飛ばしていく。早すぎてデジカメでは撮れません!

 バイクはバスの前のラックに乗せて移動できる他、「バイクロッカー」なる設備も利用できる。これは着替えなどを収納できるようになっており、申し出ると、鍵を貸してくれるシステム。

 

以上 シアトルでの促進策をまとめると

  1. バス路線、および運行本数の整備・・・深夜1時半まで運行 ・中心エリアは無料、乗り換えなどにも時間内は追加料金なし
  2. 中心部にはトンネルバスがあり、渋滞に関係なく定時運行
  3. 高速道路にはHOVレーンという車線があり、ここは公共交通 と2名以上乗車した車だけが走れるレーン。渋滞時にもスイスイ走れ、定時制が確保されている
  4. マイカーを減らすために、相乗り乗車を支援するシステムを導入。多くの場所にパークアンドライド設備があり、無料で駐車してバスに乗り換えられる
  5. 自転車の持ち込みができるほか、自転車を乗り換える際に荷物などを保管できるロッカーが用意される
  6. バスは中心部では電気で走るトロリーバス、郊外ではエンジンで走る
  7. 通常の車高のバスでもリフトが簡単に出てくる仕掛けとなっており、車椅子等の利用も日常的に行われている
  8. ビンテージバスやビンテージトラムも走っている
  9. バスの輸送が軌道に乗っており、一部の輸送力不足を補うためLRTの建設が進んでいる
  10. 多数のバス停をメンテするためのボランティアが奨励されている。掃除などをすると無料回数券がもらえる

などなど、高岡でもすぐに取り入れたい項目も盛り込まれている。 いずれにせよ、車の先進国、アメリカで公共交通の見直しが真剣に検討され、効果 を上げているという事実に注目したい。

 これらの運営には当然多額の税金が投入されていますが、公共交通 が活性化することは、新たな道路を建設するより、渋滞を解消する効果が期待されるため、市民は十分納得しているようである。

 

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