「中国の家族事情のついて」


― 概 要 ―

「社会が大きく揺れ動く中で、人々の生活、生き方が変化しています。今日は、中国の家族の中でどのような変化があったか、人々が何を求めているのか、何に悩み喜ぶのか、中国の現代の家族事情について皆さんと一緒に考えてみたいと思います。」と前置きして講演は始まりました。

経済成長(2005年)・・・所得水準の向上
 中国 : 1人あたり  1,500ドル=12,500円(世界129位)
 日本 :         37,000ドル=308万円・・・中国の25倍(世界5位)

さまざまな問題・・・貧富の差、環境破壊、汚職・腐敗、治安の悪化(都市部の犯罪、交通事故・・年間12万人)

家族の形、家族共通の目標というのは社会の現状を映すものです。社会の変化、時代とともに姿が変わっていきます。現在、中国の家族の関心事を3つ挙げてみます。
 
1.マイホーム購入
  原 因
  @収入が増えた。(すべての人ではない)
  A老後への不安
  B長年抑圧された財産欲、購買欲
  C投機目的(不動産価格は毎年2桁の伸び・・転売)
 
  問題点
  @ 不動産加熱・・・バブル・・・価格上昇、購買欲の高まり、投機
  A 家庭の借金の増加(9割以上が住宅ローンを利用)・・レジャー、旅行などはできない。
     銀行の利上げ、失業、病気の心配や子供の教育、親の面倒(社会保障の未整備)など精神的なストレスがたまる。
  B 農業用地の減少
     土地の減少・・食糧難

2.子供の教育
  1950年代の出産奨励で人口の急増・・・70年代から一人っ子(全体の7割)政策をとらざるをえなくなった。
  問題点
  @ 少子高齢化・・・年金、社会福祉の未整備
  A 男女比・・・5,000万人の男性が結婚できない。
  B 闇っ子(戸籍、教育、医療など)
  C 性格(自己中心、わがまま、適応力・自立心がない、モノを大切にしない、勉強嫌い)
     [青少年研究センターの調査]
  溺愛する反面、子供に対する期待も大きい。
  理由
  @元々教育熱心、儒教の国「出世」
  A社会の厳しい現実・・・格差社会
  B親の老後を見てもらう。

  こどもを取り巻く環境が悪くなっている。
  @勉強の時間が多く、遊びの時間が少ない。
    (5割の学生は毎日勉強(週7日)、宿題、習い事、塾・・・日本はゆとり教育だが、中国は詰め込み式)
  A両親は仕事・・・子供との交流時間が減る・・・孤独
  B子供同士の遊ぶ時間が減る・・・大人とばかりいるので子供らしさがない。
  C子供の格差(家庭の裕福度、成績など)
    
  親の負担
  @金銭的な負担・・・家庭支出の3割(学費、PC費、補講費、健康診断費等)
  A中国では教師の権力が大きい。親は仕事を終えた後、家庭で勉強を指導する。
  B心理的な負担・・・子供の将来の心配

3.老 後
  2000年 65歳以上の人口は7%で高齢化社会に入った。
  2005年 中国の65歳以上の高齢者数は1億55万人になった。
  高齢化社会
  日本 平均寿命の延長(06年 男78 女86 平均82)と少子化の進行
  中国 平均寿命の延長(06年 男70 女74 平均72)と一人っ子政策

  中国の高齢化の問題
  @高齢者が1億人以上(日本の総人口に相当)
  A経済のレベル・・・所得水準の低い段階で高齢化の進行
  B経済格差が大きい
  C年金など社会保障制度の整備はまだ不十分(労働力は豊富)
  
  中国の年金制度
  社会主義時代・・・定年後、現役時代の50〜60%が元所属から支給される。
  78年改革開放
  97年都市部基本養老保険制度(国民年金)が開始
  現在、基礎養老金(基礎年金)は月給の20%(企業が払う)・・・公的年金
      個人養老積立金(厚生年金)は月給の8%
  
  問題点
  @97年以前に定年退職の高齢者年金は積み立てがない。・・・特別処置
  A公的年金の加入率が低い。・・・都市部25%、農村部5%
  B年金基金の不足額が現在2.5兆元(35兆円)、今後9兆元(126兆円)
  C公的年金基金の流用、横領・・・加入率が低い(信頼性が低い)
  
  伝統的な老後生活・・・自宅で子供が親の老後の面倒をみる。
  @子供の負担も重い。(仕事、子供の教育、家など)
  A核家族化が進んでいる。
  B一人っ子

  老人ホーム(高価なものが多い)がまだ少ないし、高齢者福祉事業は不十分で年金制度にも問題がある。
  
  このような事柄が、現代の中国の家庭が抱えている大きな問題点であり、関心事です。