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藤子まんがのルーツ「たかおか」

作品紹介 > 11.藤子・F・不二雄は天才!

〜 藤子・F・不二雄は天才! 〜
F流”幼年マンガの魅力


 「幼年マンガ、これは一番難しいジャンルなんだけど、平然とかけるなんて、藤子マンガは良質なスタンダード・ナンバーだね。」

 「藤子不二雄のまんが大学」(小学館)の中で、漫画家の赤塚不二夫さんは上記のように述べておられます。赤塚さんに限らず、多くのマンガ家が、最も難しいと口をそろえるのが、いわゆる「幼年マンガ」の分野です。

 大人を対象とした作品なら、作者の考えや感性を、そのままの形で読者に提示することができるでしょう。仮に作者が30代の男性なら、自分が日頃抱える悩みや欲望、興味や関心のあることをそのまま作品に取り込んでいけば、30代の読者の支持は、かなりの確率で見込めるものと考えられます。事実マンガ家は、自分の描くマンガが対象とする読者と、年齢が近ければ近いほど描きやすく、成功作も多いとされています。そのため、最初は児童マンガ家としてデビューした人でも、何年かするうちに、そのほとんどが、青年マンガへと方向をシフトしていくようです。手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんといった巨匠も、その例外ではありませんでした。


ポコニャン 潮出版社(希望コミックス) 昭和53年12月20日 初版1刷 その中で、生涯を児童マンガにこだわり、死の直前まで描き続けたF先生のような存在は、非常に希有のものと言ってよいでしょう。ドイツの作家、ハンス・カロッサに「天才とは意のままに取り戻される幼年時代のことである」という言葉がありました。F先生がマンガ家仲間から「ナチュラル(持って生まれた才能があること)」と呼ばれたのも、児童マンガ(特に幼年マンガ)における、“天才”としか形容しようのない才能の輝きをさして言われたものに違いないと思います。魚は、誰に教わらなくても、水の中で自然に呼吸ができます。当たり前だといってしまえばそれまでですが、それってすごいことじゃないでしょうか?(最もF先生ご自身は、ある対談の中で、未就学児を対象としたマンガの難しさに触れ、どこかで無理をしてしまうともらしておられるので、本当は、F先生にとっても決して簡単なものではなかったのかもしれませんが…)


ポコニャン 小学館(こどもまんが名作集)2004年9月5日 初版1刷  幼年マンガなんて、子供が読むものじゃないか。大人が読んで面白いもんじゃないだろう。
 そう思われる方がいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。ぼくが、個人的に一番好きなF作品の一つに「パパは天才!」(FFランド「21エモン」第5巻に収録)があります。世間知らずで子供のように純真な天才発明家のパパとしっかりものの息子が織りなす“F流”ファミリードラマ。(ちなみに“F流”=SFの意です)
 この作品を、ぼくはこよなく愛しており、わずか数話しか描かれなかったのが本当に残念でなりません。これまで何度読み返したかわからないくらいです。この作品を始め、F先生の幼年マンガには、現代人をストレスから解放し、くつろがせ、心を癒す要素がふんだんに含まれていると思います。


モッコロくん 小学館(こどもまんが名作集)2004年9月5日 初版1刷 残念ながら「パパは天才!」は、現在のところ手に入りにくい状況が続いていますが、幸いなことに、今回ここにご紹介する「ポコニャン」「モッコロくん」が、最近小学館から出版されました。中でも「モッコロくん」は、これが初めての刊行になります。これもまた、心洗われる、そんな“F流”幼年マンガの傑作です。小学館の「ピッカピカコミックス」からは、他にも魅力的な藤子作品が多数出版されています。しかもカラーで! これ以上、いったい何を望むことがあるでしょうか!?
 おなじく小学館から刊行された珠玉の“おはなし絵本”「ぞうくんとりすちゃん」とあわせ、大人にも、いえ、大人の方にこそ出合ってもらいたいと願っています。

ぞうくんとりすちゃん 小学館 2002年9月3日 初版1刷


 

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