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藤子まんがのルーツ「たかおか」

作品紹介 > 1.キテレツ大百科

〜 冒険を夢見る心 〜  「キテレツ大百科」

「キテレツ大百科」第1巻
小学館(てんとう虫コミックス)
昭和52年8月25日 初版1刷
「キテレツ大百科」
は、月刊誌「こどもの光」に昭和49年4月号から昭和52年7月号までの4年間にかけて連載されました。単行本は、小学館のてんとう虫コミックス版(全3巻)と、中央公論社の藤子不二雄ランド版(全4巻)がありました。

 


〜主人公の木手英一は、父親から、ご先祖にあたる江戸時代の発明家キテレツ斎が遺した「奇天烈大百科」をもらいうける。一見、ただの白紙のノートブックに見える大百科だが、実は目に見えないインクで、天才的な発明の数々が記されていた。発明大好き少年のキテレツ(英一のあだな)は、さっそくそこにかかれた発明品を、これも発明品の一つである、からくり人形のコロスケの協力を得ながら、次々と作っていく…。〜

 

 


「キテレツ大百科」第1巻
小学館(てんとう虫コミックス)
昭和52年12月25日 初版1刷便利な道具が日常にゴタゴタを巻き起こして笑いを誘うというパターンは「ドラえもん」と共通しますが、「キテレツ大百科」の場合、ページ数が「ドラえもん」より多いこともあって、ストーリーにも膨らみがあり、より高学年向きの内容になっています。そのためか、主人公の英一とみよちゃんや勉三さんと君子さんなど、恋愛がらみのエピソードが多いのも特徴の一つで、「キテレツ大百科」の大きな魅力になっているように思います。道具のネーミングやデザインにもいかにも江戸時代らしい工夫が凝らされ、このあたりにも藤子・F・不二雄先生のこだわりがうかがえるようです。

僕にとって「キテレツ大百科」の一番の魅力は、本の頁をめくっただけで、遥か遠くに過ぎ去ってしまった子供の頃の「夏休み感覚」に、簡単にタイムスリップできることにあります。三十代〜四十代の男性の多くは、子供の頃に「科学」の付録に熱中した想い出があるはず。中でも一カ月以上に及ぶ夏休みの初めには、どんな冒険や体験が待っているか(実際は全然大したことないんですけどね)と、ワクワク胸が高まったものです。「キテレツ大百科」には、そんな子供の頃の冒険を夢みる心がいっぱいに溢れています。もちろん、「空き地の銀世界」など、冬を舞台としたエピソードも多く、決して夏だけのマンガという訳ではないのですが、圧倒的に夏のイメージが強いのは、そうした「夏休み感覚」を、この作品が多く含んでいるためではないでしょうか。

収録されているエピソードは、いずれも粒よりで面白く、特にユリとカエデとダイコンからつくった新生物リリーが、キテレツを間に挟んで、みよちゃんと三角関係を繰り広げる「人間植物リリー」など、ビジュアル的にもFマインドが横溢していて、個人的にメチャンコ大好きなのですが、ここでは、抑制された表現の中にしみじみとした情感を秘めた「おもい出カメラ」をご紹介しましょう。


〜怪盗Xと名付けられたコソドロが、町内に出没していた。といっても盗まれたものは、オヤツにメガネに赤ん坊のガラガラ…、と、およそ役に立たないようなものばかり。コロスケは、町内をうろつくサングラスをかけた怪しい老人が犯人ではないかと疑う。キテレツは真犯人をつきとめるため、過去を写すカメラ「回古鏡」をつくった。道具の力で事件は解決したが、老人には失ってしまった過去の想い出があった…。〜

この作品に限らず、藤子・F・不二雄先生の作品は、一見さりげなく描かれているようでいて、実は、コマ運びからレイアウト、セリフの節々にいたるまで、驚くほどに綿密な計算の上に構成されています。未読の方は、ぜひ読んでみてください。汲めどもつきぬFマンガの魅力に、きっと虜になってしまうと思いますよ。


 

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