カラーたかおか −高岡総天然色サイト−
メインメニュー
めざせ!コロッケのまち
高岡発!ニッポンブランド
音楽のまちたかおか
深夜カラー特急便
藤子まんがのルーツ
藤子まんがのルーツ
基本のメニュー
カラーたかおかとは…
更新情報
サイトマップ
Back to 古カラー
Mail
Topへ
 


炊飯釜/IH炊飯釜


会社の外観みなさん!業務用炊飯釜で全国シェア90%以上を占めるメーカーが高岡にあったんです!全国のコンビニやスーパーで、お弁当・お惣菜のごはんを炊くのに使われています。おそらくお世話になったことのない人はいないんじゃないでしょうか?
さて、今回ケイちゃん率いる我ら取材班は高岡市笹川にある(有)苗加製作所さんにお邪魔し、社長の苗加康孝さんにお話を伺ってきました!



社長の苗加康孝さん日本人の胃袋を満たす

ケイちゃん(以下「ケ」):苗加さんの炊飯釜がなんと、全国シェア90%以上を占めると聞きました!苗加製の釜で炊かれたご飯が、多くの日本人の胃袋を満たしていると考えると凄いですよね!

苗加さん(以下「苗」):ありがとうございます。おかげさまで業務用炊飯釜は、全国のコンビニ弁当をつくる食品業界でヒット商品になっています。また東京、大阪をはじめ全国で学校給食の炊飯システムに使っていただいてるんです。

:お〜!昔にくらべて今は米飯が増えてますからねー。

:昔に比べ、学校給食の現場でも炊飯システムが普及したからなんですよ。うちは、リンナイ、パロマを始めとする家庭用炊飯器メーカー様との取引から始まり(現在は製造はしていません)、業務用炊飯釜では現在、厨房業界大手10社全てと取引させていただいており、その内4社はIH式対応の釜を納めさせていただいてます。こんなに作ってどこで使われてるのかなと思うときもありますよ(笑)

:ほ〜。IH式って電磁調理器みたいなものですか?



IH式

家庭用IH鍋:ええ、IHは電磁誘導加熱のことです。現在はまだまだガス式の厨房のほうが多いんですが、IHなら炎が立たない分安全ですし、HACCP (ハセップ)やO157問題もありますから、業務用でもIHは急速に普及してるんですよ。

※HACCP[Hazard Analysis and Critical Control Point of evaluation]
「危害分析に基づく重要管理点方式」の略。アメリカで開発された食品の安全性を高めるための管理システムで、日本でも厚生労働省が認証制度として実施し始めた。

:えっ?O157とガス炊飯器とどういう関係があるんですか?

:厨房でガスを使用していると室温が高くなって、雑菌の温床となりやすいんですよ。

:なるほどね〜。



”軽い、コゲない、おいしい”のアルミ釜で…

業務用IH炊飯釜:今までのIH用の鍋や釜は、磁性がある鉄やステンレスに限られていたんですが、重いんですよね、とにかく。そもそも大きいですから…。それにアルミ釜で炊いたほうがコゲつかないし、ご飯が真っ白だし、おいしいそうなんですよ。だから、表面を鉄の皮膜で覆うアルミ製の釜が求められてたんです。家庭用ではもう実用化されてたんですが、業務用になるとより強固な耐久性が必要になりますから、どこもやってなかったんですよね。そこで、2年間かけて開発したのが、鉄粉末の「高速フレーム溶射」なんです。

:こーそくふれーむよーしゃ? アルミ釜にどうやって鉄の皮膜をつくるんですか?


マッハ2.3!!!

:2000℃の炎の中で、細かな鉄の粉を音速の2.3倍の速度で吹き付けてくい込ませます。もともとは橋の欄干やピストンなどに使われる技術なんですが、業務用釜に応用したのはうちが始めてですね。

:2000℃でマッハ2.3!!…な、なんだか、とてつもない技術を使ってIH対応釜を開発されたんですね〜。あの、あと先程、事務所に来るまでに、四角い釜も積んでありましたが、あれは…


業務用IH炊飯釜(角釜)四角い釜!?

:あの四角い釜はベルトコンベアに乗せて使用するコンベア式(連続式)釜ですね。大量に炊飯する厨房では圧倒的にこれで、約80%がコンベア式ですよ。

:へ〜そうなんですね。釜は丸いイメージがありますもんねー。あの、どちらもアルミ鋳物ですよね。高岡で多い銅器(銅合金鋳物)とは作り方とか違うんですか?


「一瞬一瞬しなやかに」

:高岡銅器では砂型のところが多いと思いますが、うちは金型鋳造です。金型を温めて溶かしたアルミを流します。その後、丸型炊飯釜の内側は旋盤で仕上げるんです。うちの製品は薄肉で鋳肌がきれいなので、ご飯の炊きあがりにムラがないと評判なんですよ。

:お〜なるほど。高度な鋳造技術がご飯の味にも影響を与えてるんですねー。鋳造し終わった釜が沢山工場にありましたね。

:そうでしょ。うちのモットーは「スピード対応」でして、完成品を在庫ストックすることで「翌日発送」を実現しています。また一個、二個からも対応しますよ。

:ええっ!!!翌日発送!!また、一個、二個のオーダーに答えるってゆうのも凄いですよね〜!

:確かに少量のオーダーでラインを変える、段取りを変えるということは大変なことなんですが、それがお客さんの信頼を得ることだと考えてます。「一瞬一瞬しなやかに」というのがうちのキャッチフレーズなんです。

:なるほど。あっ、名刺にも書いておられますね。迅速かつ柔軟な対応ということですね。すばらし〜。あの、ところで苗加さんは家業を継いだということになるんですか?


7代目の苦悩

:創業は幕末の慶応3年(1867年!!)にさかのぼるんです。実は私で7代目なんですよ。もともとうちは仏具の鋳造メーカーでしたが、約30年前に厨房器具分野に業種転換したんです。生活必需品として需要が伸びつつあったので、鍋や炊飯釜を製造するようになり、厨房機器メーカーや家電メーカーに納めるようになりました。僕が入社してから数年間は、炊飯ジャーの釜やフライパンなど、家庭用品が主力製品でしたね。しかし、電子炊飯ジャーなどは爆発的に普及したものの、家電メーカーは、こぞって海外生産の安価な釜を採用するようになったんです。

:なるほど。大量の需要を満たしたあげく、結局価格競争になっちゃうんですね〜。

鋳造後、金型の上型を開け、固まったアルミ釜を取り出す
鋳造後、金型の上型を開け、固まったアルミ釜を取り出す
丸釜の内側は旋盤機で削る
丸釜の内側は旋盤機で削る
角釜はハンド・グラインダーで削る
角釜はハンド・グラインダーで削る
最後に例の!目盛りを刻印(合数:1、2、3…)
最後に例の!目盛りを刻印(合数:1、2、3…)


起死回生 −業務用の特殊需要に−

苗加製作所のロゴ:そういうものづくりって残らないんですよね。安く、安くという追っ駆けっこで。業績も低迷してましたし、なんとかそういう状況から脱出したかった。そこで、家庭用をやめて業務用の特殊需要にシフトしたんです。

:ほー。思いきられたんですね。

:えー。というか、もともと、うちの売りは品質だったんです。昔から「す【鬆】(=ピンホール:流し込んだ金属にガスやゴミが含有されてできた小さな穴)」が入らない美しい鋳肌には定評がありました。


意気込みを語る苗加社長千人に一人のものづくり

:誰にでもできるモノを1万個、2万個と大量生産するのでは、単なる価格競争になり、中国など海外に負けてしまいます。うちは30個とか少量でも、技術力をいかして、他でやれないモノをつくることにしたんです。そもそも安いモノを作る気はないんですから、うちは"安いから売れる"マーケットに行く必要はないなと…。お客さんも「欲しいものは欲しい」だと思うんです。だから今でも千人に一人売れれば良いと思ってます。

:お〜。お客さんに「これが欲しかったんだ!」と言って買ってもらえることほど嬉しいことはないでしょうからね。


営業も自ら −心を売る−

:実は、約10年前は本当に仕事がなく、木、金、土と週の半分はしかたなく休んでいたんですよ。
新たな販路に行こうと決めてから、その木・金・土は営業に出かけるようにしました。それまでうちは純然たるメーカーでしたので、もちろん社内に営業の社員なんていません。で、自分が行くしかないなと…。生まれて始めての経験でしたが、それを2〜3年続けました。そうやって種を蒔いたんです。直接お客さんの声を聞くことで、ほんとに沢山のことを学べましたよ。物を売ることって結局心を売ることだと思うんですよ。自分たちの思いに共感し、製品を評価して下さる方と取引させていただく…。

:なるほどー。営業先からはどの様な反応がありましたか?


あらたなニーズの掘り起こし → 再コーティング事業

コーティング事業部の外観:今まで気付かなかったニーズに気付かされたこともありましたよ。フッ素樹脂の再コーティングなどは、正にお客さまの声から始めて、新たな取引先拡大につながりましたね。「剥がれてしまったコーティングだけをやりなおして!」というご注文にお答えしているんです。釜ごと買い替えたら大変ですからね。業務用炊飯釜は安く無いですから(笑)。うちでは自社製品のメンテナンス、アフターケアだけにこだわらず、ご要望があれば、旧来の砂型鋳物でできた他社製の釜への再コーティングもやらせてもらってます。コーティング事業部はNets(苗加+e関係+富山合金+住友化学)として別工場でやっています。

:フッ素コーティングというのは、アルミ製品の鋳造・加工とは全く別のジャンルだと思いますが?

:そうなんです。もともとうちもコーティングだけは新湊市の富山合金さんに外注してたんですが、後に設備を購入させていただき、全行程をうちが一貫して行える体勢になりました。密着性の高いフッ素樹脂コーティング技術で、耐久性が増し、お米もくっつきにくくなるんです。

:お〜。新たなニーズに対応するため、ついに全工程を自社でできるようになさったんですね。すご〜い。これも社長さんの柔軟さがあるからでしょうね。


丸釜大きい会社にできないことを

:さて、最後に今後の抱負をお伺いしたいのですが?

:「抱負」ですか?う〜ん。そーねー。一つは、今後もますます若い人材を育てて行きたいですね。うちは30代の社長である僕が最年長という若い会社なんですよ。あとは「小さな巨人」を目指してます。っていうのは、大きい会社で社員が高学歴だから良いというわけじゃなく、技術さえ良ければ小さな会社でも世の中に求められると思ってます。それを実証していきたい。えーと、あとは今までは、とにかくお客さん至上主義でしたが、今はお客さん・仕入れ先・社員、みんな大事なんです。皆で幸せになることを目指していきたいですね。そんなとこかな?OKです?

:オーケーです〜!!いや〜。新しいことに取り組むことを恐れず、常に柔軟な発想の社長さんのお話。われわれも大変べんきょうになりました。今日はどうもありがとうございました〜!!
(注:と言いながら、このあとケイちゃんと取材班は、社長さんの解説付きで工場内の全工程を懇切丁寧にご案内いただくのでした…お忙しい中、ほんとうにありがとうございました!!)


有限会社苗加製作所
〒933-0344 富山県高岡市笹川2904
TEL0766-31-1111 / FAX0766-31-1819
http://suihan.com/


目次に戻る