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高山右近〜人生は城々だ〜
 

 

 
高岡城の魅力に迫る!

ある美:

では、築城の名手右近さんから見て、高岡城の魅力とは何でしょう?
右近: 高岡城こそもう存在しませんが、水濠と石垣の一部は造った当時の原型が手を加えられず、そのまま残っています。これはとても珍しいことなのですよ。
近世に作られた城、私が関わった多くの城もですが、それらの大部分は、もともと存在した建造物を増築したものであったり、後の時代に何度も改修を受けたものです。
ある美:

高岡城はまっさらな状態から右近さんが設計した城ですものね。

右近: 廃城になった後も、石垣の一部や水濠などが往時の姿を残しています。大規模な修繕を受けず、原型を残す城址。高岡城址はまさに現代に生きる化石なのですよ。
ある美: う〜ん、それはスゴイ!! でも残念なことに、石垣は部分的にはもう存在しないのですね。
利長: ははは。残念ではあるが、それでも良いのだよ。
ある美: えええ!? 何故ですか利長さま!?
右近: 実はですね、石垣に使われていた大石は、和田川の氾濫を防ぐ為に、堤として利用されました。このおかげで明治初期の洪水の際も、この石で守り固めた地域は水害の難を逃れたのです。
利長: もともと防御の為に持って来させた石、今度は人の命の防御として役立てばよいのだ。ただその在り様を変えただけなのだよ。
ある美: なるほど〜(納得)。石垣の石には、それぞれ不思議な印が刻んであるのですよね。
右近: 石垣に使われた石ええ、あの石はですね、氷見灘浦海岸や雨晴海岸の義経岩付近から運んできた石なのですが、大工たちはその石に目印をつけました。「田」の字や瓢箪模様などをね。その模様は和田川の堤として使われた石にも残っています。それらは現在は本丸広場に運ばれ、誰でも触れるようになっていますよ。これらの模様の役割は未だはっきりと解明されていませんが、当時の築城技術を知るためにも興味深い素材ですよね。
ある美: 高岡城址は考古学的な視点からも価値があるのですね〜。
右近: そうですね。でも私が真に価値があると考えるのは、廃城になった後も、高岡城址を愛し、存続出来るよう努力してくれた高岡の皆さんの熱意ですよ。
明治時代に、城址を民間に払い下げ、開墾するようにとのお触れが出ました。しかし、お堀の景観や城跡の静かな佇まいを愛する高岡の人々の思いが、城址の破壊を防ぎ、公園へと作り変えてくれました。そのような時代を超えて受け継がれた人々の高岡城址への思いこそが、何より価値あるものだと私は思うのです。
現在でも、水面に影を落とす樹木の風景が人々の心を和ませ、多くの方が城址の散策を楽しんでくれています。設計をした身としては大変嬉しいですよ。


ある美:


水濠や石垣以外にも、当時の築造物が残っていますよね。
右近: 古城公園内に残る井戸ええ。高岡城には井戸も多く作りました。井戸は生活に欠かせないものですから。
そのうちの一つが古井戸として今も大事に保存されているのは嬉しいですね。井戸からくみ上げた水で、利長公のためにお茶をたて、共に心地の良い静寂を味わいました。
ある美: 当時の茶道は武将たちにとって、精神の自己修練でもあったのですよね。
右近: そうです。茶の道は己に向き合う道でもありました。
利家公も利長公も茶の造詣が深くてね。利家公は猛将であると同時に、加越能三国にこの人ありと知られる風流人でもありました。息子の利長公と私は共に千利休さんの弟子でしてね。私も加賀に招かれてから茶会を催し、利長公や他の方々をおもてなししました。
ある美: 加賀藩の茶の文化は素晴らしいですからね。利長公の隠居地である高岡にも多くの茶人が存在し、茶道の伝統が定着しました。
利長: 今の高岡には美味しいお茶菓子が多いな(お菓子を見る二人)。見目もよく、古歌にちなんでおり上品なつくりだ。
右近: その固有の風土を想起させるお菓子はただ上品なだけでなく、人の心にも訴えるものがありますね。
ある美: ええ。私たちがおいしいお菓子を頂けるのも利長さま、利常さまや、右近さんをはじめとする文化人たちのおかげですね。高岡のお茶菓子は、大伴家持が詠んだ高岡の風光明媚な自然と、近世を通して茶道をこの地に定着させた風流人の精神の結晶のようなものですね。
利長: 茶室で高岡城のことを色々話したのを思い出すのう(しみじみ)。
右近: そうですねえ、様々なことが頭をよぎりますね・・・。本当に高岡城址はあの頃と変わらないな・・・・。
ある美: おっと、お二人が回想に入ってしまわれたのでここで一旦休憩でーす。
次はその後の右近さんについてうかがいまーす。

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